Q & A
パートナーズプロジェクトでは、法律・税務・社会保険に関して、日常よく出くわす身近な問題を中心にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
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2025.7 フリーランス保護法の注意点
フリーランス保護法による初の勧告が出されたと聞きました。事業者として、どのような点に注意すべきでしょうか?
2025年6月17日、公正取引委員会が大手出版社2社に対し、フリーランス保護法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)に基づく勧告を行ったと公表しました。2024年11月1日の施行後、初の勧告事例となります。
今回の勧告を機に、フリーランスと取引のあるすべての事業者は、改めて自社の体制を見直す必要があります。
〇フリーランス保護法の目的と義務
本法は、事業者とフリーランス間の取引トラブルを防ぎ、フリーランスが安定的かつ公正な環境で働けるようにすることを目的としています。
このため、フリーランスと取引を行う事業者には、以下の2つの観点から義務が課せられています(業務委託の期間等に応じ、事業者の義務の範囲は異なります)。
〇取引の適正化
業務内容、報酬額、支払期日などの取引条件を書面等で明示する義務
原則として、給付受領後60日以内の報酬支払義務
一方的な発注取消や受領拒否、報酬の減額、買いたたき等の禁止
〇就業環境の整備
継続的な業務委託の場合における、育児や介護等への配慮
ハラスメント行為に関する相談対応など、必要な体制の整備
契約の中途解除や更新しない場合の、原則30日前までの予告
〇違反した場合のリスク
これらの義務に違反すると、行政による助言・指導、そして勧告の対象となります。
勧告を受けた事業者が正当な理由なく勧告に従わなかった場合、命令・企業名公表や、罰金による制裁が科されることがあります。
注意すべきは、公正取引委員会は、勧告と同時に企業名や違反内容を公表する取扱いとしていることです。
(公正取引委員会「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律第2章違反事件 に係る公正取引委員会の対応について」)
事業者名が公表されれば、企業の社会的信用やブランドイメージが大きく損なわれるという、事実上の不利益は避けられません。
〇初の勧告事例から学ぶべきこと
今回の勧告事案で、公正取引委員会は違反の背景として「社内での体制整備や研修が徹底されていなかった」点を指摘しました。一方、勧告を受けた企業からは「長年の商慣習」で口頭発注を続けていた、といった趣旨のコメントも出ています。
この事例が示す教訓は、「これまでの慣習」は言い訳にならないということです。
法律の施行から半年以上が経過し、行政からの監督は、さらに本格化するでしょう。事業者としては、以下のような対応をとることが考えられます。
法への正しい理解: 役員から現場担当者まで、法律が求める義務を正確に理解する。
社内体制の構築: 取引条件の明示を徹底するための契約書テンプレートの整備や、発注プロセスの見直しを行う。
全社的な意識浸透: 定期的な研修などを通じ、「慣習だから」「これまでもそうだったから」という意識を改め、コンプライアンスを遵守する企業文化を醸成する。
自社にフリーランス保護法違反のリスクがないか、この機会に、改めて総点検してみるのはいかがでしょうか。