Q & A
パートナーズプロジェクトでは、法律・税務・社会保険に関して、日常よく出くわす身近な問題を中心にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
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2025.4 中小企業経営強化税制が変更されます
令和7年度税制改正で中小企業経営強化税制に変更はありますか。
以下の変更があります。
①売上高100億超を目指す中小企業への支援として、一定の要件満たす場合に対象設備が追加されます。
②収益力強化設備(B類型)の要件に、より高い要件が求められます。
③一部の設備が対象外となります。
この制度変更は令和7年4月1日から適用となります。
なお、令和7年3月31日までに「経営力向上計画」を申請済みの企業には、経過措置として旧制度が適用されます。
1. 100億企業を目指す中小企業への収益力強化設備(B類型)対象設備
経営力向上計画につき以下の要件を満たす企業については、機械装置・工具器具備品、ソフトウェアの他、
建物及びその附属設備(1つの建物とその附属設備の取得価額の合計額が1000万円以上のもの)が対象
設備となります。
(要件)
①売上向上のための施策及び設備投資時期を示した工程表(ロードマップ)を作成していること
②経営力向上計画の認定を申請する事業年度の直前事業年度の売上高が10億以上90億未満であること
③売上高100億円超を目指すための事業基盤、財務基盤、組織基盤が整っていること
④売上高100億円超及び年平均10%以上の売上高成長率を目指す投資計画であること
⑤売上高の増加に貢献する設備導入他、一定の要件を満たす設備投資を行う投資計画であること
⑥投資計画の計画期間中において給与等の支給額を増加させる計画であること
⑦上記の他、売上高100億円超を目指すために必要とされる要件を満たすこと
(適用される特別償却・税額控除)
①建物及びその附属設備(対象となる取得価額合計額の上限は60億円)
(特別償却) 取得価額の15%(給与増加割合2.5%以上)又は25%(給与増加割合5%以上)
(税額控除) 税額の1%(給与増加割合2.5%以上)又は2%(給与増加割合5%以上)
② ①以外の資産
(特別償却) 取得価額全額
(税額控除) 税額の7%(資本金3000万円以下の法人は10%)
(注意点)
①建物及びその附属設備の特別償却・税額控除は、対象設備の事業供用年度の給与増加割合が2.5%未満である場合は適用できません。これは経営力向上計画の段階で2.5%未満となっていた場合も同様となります。
②経営力向上計画で認定された計画期間中は、以下の税制を適用が受けられなくなります。
イ 中小企業投資促進税制による特別償却・税額控除
ロ 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(30万未満の資産の特例)
2.収益力強化設備(B類型)の適用要件
経営力向上計画における投資利益率が、従来は年平均5%以上の投資計画が要件であったのに対し、改正後は投資利益率年7%以上の投資計画が要件となり、より高い収益性が求められます。
3.改正で対象外となる設備
改正前まで対象であったデジタル化設備(C類型)は、令和7年3月31日をもって適用終了となりました。
これらはテレワークやロボット設備等に対するもので、本改正では延長対象外となりました。