Q & A
パートナーズプロジェクトでは、法律・税務・社会保険に関して、日常よく出くわす身近な問題を中心にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
ぜひ日頃の経営問題の解決にお役立て下さい。
2023.01 著作権の 「個人使用の範囲内」とは
ネットを見ていたら可愛い動物のイラストがあったので、自分のスマートフォンにイラストを保存しました。
とても気に入ったので、①スマートフォンの待ち受け画面に設定したり、②自分のLINEのアイコンに設定したりしました。
また、③社員旅行のしおりの挿絵にもぴったりだったので同じイラストを使ったところ、同僚から「著作権を侵害しているのでは?」との指摘を受けました。
イラストの作者のコメントでは、「個人で使用するならOK」と書かれていましたが、どこまでなら「個人」で使用できるのでしょうか?
著作権法では、個人的に又は家庭内など限られた範囲内で、仕事以外で使用することを目的として、使用する本人が複製する場合に限り、「私的使用のための複製(第30条)」として、許諾を得ずに著作物を利用できるとしています。
① 個人のスマートフォンやパソコンにイラストを保存することや待ち受けとして使用することは、「個人使用の範囲内」となるので、使用可能です。
② LINEやTwitterなどSNSのアイコンは不特定多数の人が見る事が出来るので、「個人使用の範囲内」とはならず、
使用出来ません。ただし、著作権者がSNSのアイコン等での使用を許可している場合は、指定の方法に限り、利用することが出来ます。
③ 社内外に限らず、仕事で利用することは「商用利用」となるため、「個人使用の範囲内」に該当せず、利用出来ません。
気に入った作品を自分のスマートフォンやパソコン等に保存して、待ち受けや壁紙などとして個人で楽しむことは私的使用であり、「個人使用の範囲内」と言えますが、TwitterやLINEのアイコン等は、ネットにアップロードすることで不特定の人が見る事が出来る状態となるため、私的使用とは言えず著作権の侵害となります。
なお、著作権者がSNSのアイコンなどに著作物の使用を認めている場合については、その使用方法に限って、著作物を利用することは可能です。
また、自分が使う分だけであっても、他人が作成したイラストなど他者の著作物を利用し、業者に依頼してグッズ等を制作することは利益が発生するため、著作権の侵害となります。
対象が社内だけであっても、仕事で利用することは「商用利用」となりますので、著作権者の許可なく著作物を利用することは出来ません。また、著作権者が商用利用を許可している場合でも、利用料や利用方法が指定されている場合もありますので、注意が必要です。
個人でも、著作権者に無断でSNSに利用し、後日著作権の侵害を指摘され、高額な利用料を請求されるケースもありますので、著作物を利用する前には、著作権者や利用規約をよく確認しましょう。