Q & A
パートナーズプロジェクトでは、法律・税務・社会保険に関して、日常よく出くわす身近な問題を中心にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
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2021.07 男性の育休取得
令和3年6月3日に、育児・介護休業法が改正されたと聞きました。以前より,男性も育児休暇を取得し易くなるようですが、今回の改正では、企業に対して、従業員が育児休業を取得するのか、その意向の確認措置を義務付けていると聞きました。具体的に内容をご教示下さい。
*この法律の施行日は、2022年(令和4年)10月が想定されています。
・ 「男性版産休」と位置づけられ、生後8週間以内に計4週間の休みを取得可能としており、2回に分けることもできます。申請の時期は、従前の1か月前ではなく、2週間前に申請取得できるようになります。
・ 労使合意があれば、出生時の育児休業取得中でのスポット勤務が認められるようになります。
・ 雇用保険法の一部改正により、育児休業給付金の支給や社会保険料の支払免除により、実質通常賃金の約8割が保証されます。
・ 従来の「有期雇用労働者であって1年以上勤務継続している者」という取得要件を撤廃し、非正規雇用労働者も、取得できるようになります。
*2022年4月には、産休・育休の取得意向の確認が企業に義務付けされて、取得機会の損失防止が図られます。
・ 更に、従業員1000人超の企業に対しては、育休取得率の公表を義務付けております(2023年4月施行)。
改正の趣旨
企業として、出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け、育児休業給付に関する所要の規定の整備等の措置を講じました。
現状、現行法下で男性の育児休業取得率は2019年度時点で7.48%に留まり、国の掲げる2020年度時点で13%、2025年度時点で30%という目標とは大きく乖離してしまっています。
今回の改正では、「育休を取れる雰囲気ではない」という組織風土や業務の継続性などの心配、雇用条件による取得要件の撤廃など、「男性の育児休業のとりづらさ」を改善するため、企業への義務化など配慮が見られます。
4週間でも、出産直後の母体の大変な時期や、生後8週間までの手探りで不安な時期に、男性が育児参加することは大きな意味があると思われます。
まずは、法改正を受け社内規定類の見直しを行い、組織に合わせた、柔軟な働き方を支援できる制度の構築、そしてその制度への労働者の理解を深めるための周知・啓発を行う必要があります。