Q & A
パートナーズプロジェクトでは、法律・税務・社会保険に関して、日常よく出くわす身近な問題を中心にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
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2020.11 コロナウイルス感染症と役員給与の減額等
1月決算の当社は、訪日外国人旅行者や観光客向けの宿泊施設を経営しています。新型コロナウイルス感染症の影響により、外国からの入国制限、外出自粛要請などで予約はキャンセルとなり、現在、業績が急激に悪化し、従業員の給料の支払いも困難な状況になっています。また今後は国内の観光需要も減少し、観光客等が回復する見通しも立たないことから、役員給与の減額を行うことを検討しています。このような事情で年度の途中で役員給与を減額した場合、その役員給与は定期同額給与に該当するでしょうか?
新型コロナウイルス感染症により宿泊予約がキャンセルとなり業績が急激に悪化した状況が見受けられます。今後も見通しが立たず、今後の経営状況の著しい悪化が不可避なケースでの役員給与の減額改定については、『業績悪化改定事由』による改定に該当するものと考えられます。(法人税法34条1項、2項、法人税法施行令69条1項1号ハ、5項2号)
よって改定前の定額支給していた役員給与と改定後に減額して定額支給する役員給与はそれぞれ『定期同額給与』に該当します。
『業績悪化改定事由』には、その他にも業績等が急激に悪化して、従業員の給与等も支払が困難となり、取引銀行や株主との関係からもやむを得ず役員給与の減額をしなければならない状況も、法人税の取扱いにおける『業績悪化改定事由』に該当することになります。
その他注意する点としては、新型コロナの影響が収まったという理由で、一度減額した報酬を同じ事業年度内で元に戻した場合は、増額した部分は法人税の計算上経費として認められません。 詳しくは税理士等にご相談下さい。
(参考)
〇法人税基本通達9-2-13(経営の状況の著しい悪化に類する理由)
〇役員給与に関するQ&A(平成24年4月改定版)〔Q1-2〕(業績等の著しい悪化が不可避と認められる場合の役員給与の減額)