Q & A
パートナーズプロジェクトでは、法律・税務・社会保険に関して、日常よく出くわす身近な問題を中心にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
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2016.11 所得税 給与所得者の特定支出の控除の特例
建築会社の設計部に勤めています。このたび、一級建築士の資格の取得のため、働きながら自費で専門学校に通うことにしました。
この通学費は、所得税の控除の対象になると聞きました。控除を受けるには、会社の年末調整で申し出ればよいのでしょうか?
年末調整での控除はできません。ただし、個人での確定申告であれば、控除が可能な場合があります。
この場合、一級建築士資格取得のために専門学校に通う費用は、給与所得者の「特定支出」に該当します。
特定支出の合計額が、給与所得控除額の半額を超える場合、確定申告書の提出を要件に、半額から超える部分の金額を控除することができます。
特定支出とは、以下の支出のうち、給与等の支払者によって証明がなされたもののことを指します(給与等の支払者によって補填されたものを除く)。
〈特定支出の範囲〉
① 通勤のための支出
② 転任に伴う転居のための支出
③ 職務の遂行に直接必要な技術等の習得を目的とする研修のための支出
④ 職務の遂行に直接必要な資格取得のための支出
⑤ 単身赴任者の帰郷等のための支出
⑥ 次の支出のうち職務の遂行に直接必要なもの(合計65万円を限度とする)
(ア) 職務に関連する図書の購入費
(イ) 勤務場所での着用が必要とされる衣服の購入費
(ウ)職務上関係のある者に対する接待費
これらの特定支出の合計額が、給与所得控除額の半額を超えるとき、その超えた分の金額を控除することができます。
給与所得控除額は、給与所得の収入金額(給料、賃金、賞与などの合計)によって異なります。給与所得控除額の計算方法は、国税庁のホームページに記載されていますので、そちらをご覧下さい。
なお、確定申告で特定支出の控除の適用を受ける場合には、
・特定支出に関する明細書及び証明書の添付
・特定支出の事実・支出金額を証明する書類の提示
が必要です。必ず、特定支出である証明を勤務先から受け、領収書等を保管しておいてください。