Q & A
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2025.11 防衛特別法人税の創設
防衛特別法人税はどういう制度??
「日本の防衛費用の財源確保」を目的に新たに創設され、令和8年4月1日以降に開始する課税事業年度から適用されます。各事業年度の所得に対する法人税を課される法人が、納税する義務があります。
課税標準法人税額(各課税事業年度の基準法人税額-基礎控除額500万円)×4%の金額が防衛特別法人税額となります。
① 趣旨・概要
防衛特別法人税は、令和8年4月1日以降に開始する課税事業年度から適用される、新たに創設された法人税の特別税です。
納税義務者・・・各事業年度の所得に対する法人税を課される法人が、納税する義務があります。
課税対象・・・法人の各課税事業年度の基準法人税額(一定の制度を適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税の額)について、課税されます。
② 計算方法
防衛特別法人税の税額は、以下のステップで計算されます。
1. 課税標準法人税額の計算
基準法人税額から基礎控除額を差し引いて、「課税標準法人税額」を算出します。
基準法人税額・・・・所得に対する法人税の額から、所得税額の控除や外国税額の控除などの一定の制度を適用しないで計算した金額です。
基礎控除額・・・・原則として年500万円です。ただし、課税事業年度が1年に満たない場合は、月数に応じて計算されます。
2. 防衛特別法人税額の計算
算出した課税標準法人税額に4%の税率をかけて、「防衛特別法人税額」を算出します。
計算式・・・・「(基準法人税額-基礎控除額500万円)×4%」です。
3. 納付税額の計算
防衛特別法人税額から、
一定の税額控除(外国税額の控除など)を差し引いた金額が「納付税額」となります。
③ 適用時期
本制度は、法人の令和8年4月1日以降に開始する課税事業年度から適用されます。
中間申告の規定は令和9年4月1日以降の事業年度から適用され、確定申告書には新たに防衛特別法人税に関する欄が設けられます。
④ 実務のポイント
・防衛特別法人税は、新たな税目として法人税申告と同時に申告納税が必要で、納税額ゼロでも申告義務があり、申告義務を失わないためにも忘れないようにしなければなりません。
・計算に用いる基準法人税額は適用除外の控除制度があるため、確定申告時に正しく調整する必要があります。
・課税事業年度が1年未満の場合の基礎控除按分や、税額控除の適用可否の確認も重要となります。
・中間申告の対応は令和9年4月1日以降開始の事業年度からであり、事務処理と申告書様式の準備が必要になります。
⑤ 今後の展望
防衛特別法人税は、当分の間適用される予定であり、防衛予算拡充のための安定した財源確保を目指す政策的措置とされています。今後の税制動向や国際情勢によっては変更の可能性もありますが、現時点では継続的な税収確保手段として位置づけられています。そして、防衛特別法人税の申告書については、法人税及び地方法人税の申告書別表に防衛特別法人税に係る欄を追加される予定です。そのため、申告書様式の追加・更新は国税庁ホームページに発表があるため、最新情報の確認が今後必要になります。