生成AIが“怪しい”わけ
第一世代AIは、全ての選択肢を洗い出して最適解を探す「選択肢ベースAI」である。不適切な解が出た場合、原因を調べて修正できる。しかし全ての解を洗い出せる課題は限られており、一部のゲームへの応用に留まっている。第二世代AIは、専門家からヒヤリングで収集した大量のルールに基づいて最適解に近づく「ルールベースAI」である。ヒヤリングの負荷と難易度が高く、例外の少ない限られた分野での利用に留まっている。
生成AIは第三世代AIに分類される。インターネットで公開されている膨大なデータ間の相関関係を自律的に学習し、文章・画像・プログラム等の非構造化データを生成する「データ・ベースAI」である。人による選択肢やルールの入力を必要としないが、解に至る道筋はブラックボックスになる。不適切な解を人が直接修正することは難しく、ある修正が他の課題の解を歪めてしまう場合も有る。
人が「生成AIが解を導き出すプロセス」への直接的関与をあきらめたことで、生成AIは人の能力の限界を超え、急激に進化している。人は生成AIが示す解に一喜一憂することしかできず、解を生み出すプロセスの改善は難しい。解の根拠・理由が分からず、解生成プロセスを理解できない時、人は解自体に怪しさを感じてしまう。生成AI活用能力とは、生成AIが示す解の不適切性に気付き、他の情報源を用いて確認・修正し、解の適切性を高める能力であると言える。
プロフィール

赤塚 浩一AKATUKA Koichi
- 中小企業診断士
- IPSコンサルティング 代表