拝啓経営者殿

for Manegers newsletters
TOP 拝啓経営者殿

人財育成と心理学

人財育成と心理学

社会保険労務士 髙野 裕久

昔読んだ本をたまに読み返す時があります。(今はもっぱらAudibleで聞いておりますが…)改めて読み返した本の中に「嫌われる勇気」がありました。アドラー心理学について書かれている本で、最初読んだ時は自己啓発本だと思っていましたが、改めて読んだら人財育成に活用出来るのではないかと思いましたので、少しご紹介させてください。

「目的論」と「原因論」
例えば、あなたの部下がミスをしてしまいました。その時あなたならどのように部下に対して指導しますか?
「なぜミスが起きたのか?」「なぜミスを回避出来なかったのか?」なぜ、なぜ、なぜ…
これは原因論と言ってなぜそうなったのか原因を突き詰める考え方です。製造現場では必要な考え方ではありますが、コミュニケーションとして部下が上司に報告する度にひたすら原因を突き詰められたら気が重いですよね。最悪突き詰めた結果、原因は「自分の能力が足りなかったから」「自分がダメだから」とか人格否定になってしまうかもしれません。
では逆に目的論というアドラー心理学の考え方で考えたらどうでしょうか。
部下がミスをした際に、まず「これからどうすればミスをリカバー出来るだろうか?」とミスをする前の本来の目的を達成するための方法について考える。その後「どうしたらミスが起きなかっただろうか?」どうしたら、どうすれば、どのようにして…
「なぜミスが起きたのか?」の原因論と「どうすればミスが起きなかっただろうか?」の目的論、似ているようですが原因論は部下の気が重くなり、目的論は部下が次に取る行動が明確になります。上司に詰められている部下を見ている他の同僚も、同じ空間にいたら一緒に気が重くなってしまいますよね。目的論で考えれば指導した上司も、ミスしてしまった部下も、他の同僚たちもポジティブに捉えられ、職場の雰囲気はより良くなっていくのではないでしょうか。
数ある考え方の一つとして参考になればと思います。

プロフィール

髙野 裕久

髙野 裕久TAKANO Hirohisa

  • 社会保険労務士